ダウ・欧州株・日経

FRBは再び緊急利下げへ

新型肺炎のパンデミック化により世界の金融市場が混乱に陥るなか、週明けのオセアニア市場ではリスクオフの円高が進行しました。
米連邦準備理事会(FRB)が緊急会合を開き政策金利を0.00-0.25%に引き下げ、量的緩和(5000億ドルの米国債、2000億ドルの住宅ローン担保証券(MBS)の購入)の再開も発表するとドルが急落。時間外のダウ先物が1000ドル超下げたことも売りに拍車をかけ、一時105.77円まで急速に値を下げた。一方、流動性が著しく乏しいなかで一巡後は106円台半ばまで反発するなど荒い値動きが続いています。
なお、パウエルFRB議長は定例記者会見で今週17-18日に予定されていたFOMCは開催しない旨を伝えたほか、マイナス金利の可能性についても否定的な発言をしています。

これを受け、日本時間の時間外取引での米株式先物と米長期金利は大幅に下げ、本日アジア市場でドル・円は窓を空けて寄り付きました。
ただ、目先の急激な変動を避けようとドル買いが強まり、ドル・円は午前中に107円半ばに浮上する場面もありました。

日銀も緊急の金融政策決定会合

日銀が本日緊急で開いた金融政策決定会合でETF・J-REITの保有残高を倍増したうえ、CPや社債の残高を引き上げました。
この決定に株価は買いで反応し、日経平均株価は350円超上昇。
ただ、新型肺炎の感染拡大を巡る世界経済の減速懸念を払しょくするには不十分との見方から株価はその後510円超安まで失速。ドル円は株価の一転下落につれる形で106.30円台まで下押ししました。
黒田総裁はその後の記者会見で、「必要あれば追加的な金融措置、躊躇なく講じる」「国債買い入れ、必要に応じていくらでも増やすことができる」「ETF購入、マーケット見て必要な限り12兆円ベースでやっていく」などの見解を示しました。

日銀の政策は円安・日本株高要因となりえますが、ロイター通信は、日本の経済政策当局者が、東京五輪中止のリスクを一段と真剣に検討している、と複数の情報源を基に報じており、日本売りのリスク(日本株売り・円売り)も念頭に置いておいた方がいいかもしれません。
パウンドIOC委員は、IOC副会長時代にNBCとの間でオリンピックの放映権(2014-2032年:120億ドル)をまとめて代理人的な役割をしているが、5月末が中止・延期の期限と述べています。
国際オリンピック委員会(IOC)は、東京オリンピック(7/24-8/9)の大会参加者の安全が深刻に脅かされる事態が勃発した場合、60日前に中止の通告をする権利を有しており、5月24日付近が中止の判断期限となっています。

ダウ・欧州株の軒並みの下落

16日のニューヨーク市場では、ドイツの株式相場が一時10%を超す暴落となったほか、ダウ平均は一時2800ドル近くの急落となり、今月3回目となる「サーキット・ブレーカー(取引を一時停止)」を発動。ナイト・セッションの日経平均先物は大証終値比980円安の1万5860円まで売り込まれるなど、世界の株式相場が急落。リスク回避のドル買いが優勢となり、一時1.1094ドル付近まで値を下げた。
ドルと同時に円も買われており、ドル円に関しては方向性の見えない綱引き状態が続いています。

2002-2003年のSARSコロナウイルスによるドル円(8%下落)と日経平均株価(18%下落)の下落率と同様の下落率を想定した場合、ドル円は、高値112.23円から103.23円付近、日経平均株価は、高値24115.95円から19775円付近でした。
新型コロナウイルスによるこれまでの下落は、ドル円が101.19円までの9.8%下落、日経平均株価は16690.60円までの30.8%下落で、SARSコロナウイルスの下落率を上回り、弱気相場入りの可能性を示唆しています。

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