苦境に立つ各国中央銀行

日銀は国債購入を無制限に

来週27日から始まる日銀の金融政策決定会合での政策内容の変更を日経新聞が伝えています。
それによると、日銀は現在年80兆円をメドとしている国債購入を「無制限」に変更することを検討するようです。
新型コロナ対策の拡充で国債の増発が予定されており、増発による金利上昇を抑制しようとする狙いです。
また4.2兆円の社債と、3.2兆円のCPの購入についても、購入額を倍増することを検討していると報じています。
これらの政策により、市場に資金を潤沢に供給し、企業の資金繰りの安定化に資することになります。

FRBはマイナス金利へと突入するのか

米連邦準備理事会(FRB)のバランスシートは今週、過去最高の6兆6200億ドルに拡大しました。
新型コロナウイルス対応として打ち出した無制限金融緩和で、資産の買い入れを積極的に行っていることが背景にあります。
新型コロナの感染拡大を受け、FRBは3月初旬以降、利下げや資産買い入れのほか、数々の非伝統的な対応策を打ち出してきました。
22日時点のFRBのバランスシートは、前週の6兆4200億ドルから約2000億ドル拡大。新型コロナ危機前の米経済規模の約30%に相当するまでとなっています。
3月第1週には4兆2900億ドルでした。

新型コロナウイルス対応で巨額の資産購入に乗り出した米連邦準備理事会(FRB)の総資産が急拡大していて、4月に入って日銀を一気に追い抜き、両者の差は今後、大きく広がる見通しとなりそうです。
FRBの資産膨張はドルの需給緩和などを通じてドル安要因にもなります。
来週のFOMCでは現行の金融政策の据え置きが予想される一方、今後の動向次第で、FRBがマイナス金利の可能性にまで言及するかが、大きな焦点の一つとなるかもしれません。

ユーロ共同債は合意に至らず

欧州中央銀行(ECB)は、新型コロナウイルス感染拡大で打撃を被る欧州経済への支援を強化するため、臨時の資産購入プログラムの規模を今後数カ月でさらに拡大するとの市場関係者の間で予想されています。
ECBは23日の会合で新型コロナウイルスの感染が収束した後の経済対策についての復興基金を設けることで合意しました。
各国が徐々に店舗の営業規制などの緩和に踏み出す中、経済への影響を最小限に抑えたい考えです。
しかしながら、ユーロ共同債(コロナ債)といった財源や、基金の規模についての詳細には踏み込まず、合意は次回以降に持ち越した形となりました。