株価下落と地政学的リスク

18日のニューヨーク市場は、中国株が大幅安となったことを嫌気して始まり、欧州市場でイタリア国債の利回りが拡大したことから、下げ幅を広げました。

EUの執行機関である欧州委員会は18日、イタリア政府に対し2019年予算案はEUの財政規律から大幅に逸脱しているとの見解を通達し、前例のない違反だと指摘しました。
この結果、欧州委員会がイタリアの予算案を却下する準備段階となり、制裁金につながる可能性もあります。
イタリアが提出した予算案では純歳出名目の増加率は2.7%となることが示されていますが、EU財政律ではイタリアに許容されている伸びは0.1%にど止まると指摘、構造的な赤字の対国内GDP比率は19年は0.8%に上昇するとみられるがEU財務省が7月に示した拘束力のある助言によると、イタリアは同比率を0.6%低下させる必要があるとしています。
結果、今回の予算案は目標からの逸脱が前例のない大きさであり、特に深刻な違反のようだと指摘、10月22日までに回答するよう求めました。
イタリアが内容を修正しなければ、欧州委は10月29日までに予算案を却下する可能性があり、そうなると前例のない事態となり、金融市場に一段と混乱が広がる恐れがあります。

株式市場は地政学リスクが重し

ニューヨーク市場では、サウジアラビアの反体制記者の失踪をめぐり米国とサウジアラビアの関係が悪化するとの見方が相場の重しとなりダウとナスダックは下落しました。
ムニューシン米財務長官がサウジアラビアで開催される経済投資フォーラムへの参加取りやめを表明し、両国の関係悪化への懸念が広がったことで売りがさらに加速。市場では、サウジアラビアに制裁が科されれば原油供給が減少し、エネルギー価格の上昇を招くとの懸念の声が聞かれました。
前日のFOMC議事要旨を受けた金利上昇への懸念も引き続き株価を圧迫、恐怖指数も上昇しています。

19日の閣議後会見では、麻生副総理兼財務相は主な原因は上海株下落や元安、サウジアラビア問題と指摘し、日本経済のファンダメンタルズが悪くない状況は変わらないと強調しています。
日本経済が良くても世界経済、特にアメリカ市場が落ち込むと一気に影響を受けるのが日本市場で、日経平均は本日もニューヨーク市場の下落を受け、マイナスからのスタートとなっています。

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