ダウ下落で米ドルは失速

4日のニューヨーク外為市場では、米労働省が発表した8月雇用統計で失業率は8.4%と、パンデミックで経済が封鎖した3月以降で初めて1桁台に低下しました。
非農業部門雇用者数も前月比+137.1万人と、伸びは7月+173.4万人から鈍化したものの予想+135.0万人を上回る結果となりました。
平均時給は前月比+0.4%、前年比+4.7%と、それぞれの予想横ばい、+4.5%を上回る伸びとなり、不完全雇用率(U6)は14.2%と、7月16.5%から低下し3月来の低水準。労働参加率は61.7%と、7月61.4%から上昇となりました。

ただ、政府のセンサス絡みでの9月末までのパートタイムの増加が全体指数を押し上げたほか、航空各社が10月以降の大量の従業員解雇計画をすでに発表しており、雇用の増加基調が持続する可能性は依然不透明ではあります。
このため、連邦準備制度理事会(FRB)が慎重姿勢を簡単に転換する可能性は少なく、長期にわたり大規模緩和を維持する方針にかわりはない模様。
一方で、財政拡大は必至だが、大統領選挙まで交渉が膠着する可能性が出てきたことは懸念材料となりそうです。

ニューヨークの株価は上昇から一転、下落へ

クドロー米国家経済会議(NEC)委員長がブルームバーグTVで、新型コロナウイルス危機を乗り切るための追加景気対策を巡り「成立しなくても構わない」と述べたことが株価下落の要因となっているみたいです。
クドロー氏は米政権と民主党指導部が年末までに追加救済法案で合意に至らなかった場合でも「間違いなく生きていける」と指摘。
雇用支援や学校再開に向けた資金供給、中小企業向け融資の延長などを含む「的を絞った」救済法案は「有益」とした一方、この日発表された8月雇用統計で失業率が8.4%に改善したことなどに言及し、「追加対策が絶対に必要かと言われればノーだ。現時点で何らかの前提条件を付すつもりはない」と述べています。