FOMCで見る米経済

11日に開催されたFOMCでは事前予想通り、現行のゼロ金利政策維持を決めました。
声明文では「FRBは現在の困難な時期に米経済を支えるため、あらゆる手段を用いることをコミットしている。それによって最大限の雇用と物価安定という目標を促進する。委員会が、雇用と物価安定を達成する軌道にあると確信するようになるまで、FF(フェデラル・ファンド)金利誘導目標のレンジを、ゼロ-0.25%に据え置く」と発表しています。

会合後の記者会見でパウエル議長は、新型コロナウイルス感染拡大からの景気回復を支援するため、金融当局としてあらゆる手段を用いると表明し、「利上げについては考えることすら考えていない」と言明し、「利用可能なあらゆる手段を必要な期間だけ用いることを強くコミットしている」と語っています。
また5月の雇用統計について、労働市場が底を付けたことを意味する可能性はあるとしつつ、多くの人の予想が外れ、驚きが広がったという事実は、「現状がいかに不透明かを明確に示している」と述べています。昨年12月以来の公表となった経済予測では、2021年末までFF金利がゼロ付近で維持されると全てのメンバーが予想しており、また2人を除き全員が22年末までゼロ付近で据え置かれるとの見通しを示しています。

ゼロ金利政策を2022年末まで見込めることは、株式市場にとっては強い追い風になりますが、パウエル議長の景気に対する慎重な見方が利益確定の売りを誘発したものと思われます。
ドル円では、日米金利差が当面拡大しないことが見込まれることからドル売りが優勢になっています。
ただ、これらの一連の動きはある程度予想されていたため、それほどインパクトのあるものではなく、引き続き株価の動向がドル円の方向を決める上での「主役」であることは変わらないと考えられます。