逆イールドでの世界的な株安

[st-card id=]景気後退を示唆すると言われている逆イールドカーブが12年ぶりに発生しています。
米国では50年間にわたり、景気後退期に入る前、こういった逆イールドが発生しているため、世界的な株安の原因となったほか、米長期金利にも圧力がかかり、ドルの圧迫要因となっっていました。

イールドカーブとは、1ヶ月ものから30年ものに至るまで償還期間が異なる債券利回りの変化を表したものです。
通常であれば、曲線は右上がりのアーチを描きます。
債券投資家は長期国債を保有するリスクを負うことの補償を期待するためです。
そのため、30年ものの利回りは通常、1ヶ月ものや3年ものの利回りより高くなります。

長期金利と短期金利との差が拡大し、イールドカーブの傾斜がきつくなることをスティープ化するといいます
30年物利回りは2年物の利回りよりもかなり高くなります。
また、債券市場のスプレッドとは金利差のことです。
その差が縮小してイールドカーブの傾斜が平坦になることをフラット化するといいます。

今回問題となった逆イールドカーブについて

滅多にないことなのですが、イールドカーブの一部、あるいは全てにおいて右肩あがりではなくなることで、短期金利が長期金利より高くなった場合に起きます。
これを逆イールドカーブと呼びます。

イールドカーブの逆転がなぜ問題となるのか

逆イールドは昔から景気後退到来のシグナルとされてきました。
過去50年において、米国では景気後退期に逆イールドが見られていました。
逆イールドが見られて、景気後退期へと突入しなかったのは1度だけです。
短期金利が長期金利を上回ると、短期の借り入れコストが長期の借り入れコストよりも高くなることを意味します。
そのような状況においては、企業は運転資金の調達コストがより高くなり、経営者は投資控えてしまいがちとなってしまいます。
個人消費も減速し、経済は次第に縮小して失業率も上昇します。
ただ、逆イールドが発生してすぐに景気後退期へと突入するかといえばそうではなく、だいたい1年から2年くらいで景気後退へと向かうと言われています。

逆イールドがおきる理由

短期債は、その国の中央銀行の金利政策に非常に敏感です。
一方長期債は、投資家のインフレ期待により影響されますが債券投資家にとってはインフレはタブーになります。
これまで3年間続いてきたFRBの利上げにより、短期金利は上昇しています。
また、借り入れコストの上昇が経済を後退させることから、現在のように今後インフレが抑制されるとみられている場合、投資家は比較的緩やかな長期金利を受け入れやすいです。

22に起きた3ヶ月物と10年物の利回りの逆転は、予想を下回る欧州経済市場をうけ、投資家がより安全な米長期債を買いに走ったためと考えられています。
3ヶ月物の利回りも、FRBが年内の利上げがないと示唆したことでやや低下したところタイミングだったため起こったのではないかと言われています。

いろいろなことが重なって起こった今回の逆イールドですが、25日にイエレン前FRB議長も講演で、景気後退の前兆だとは思わないと述べていますが、やはり投資家心理にはネガティブな方向に傾いてしまったみたいです。

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