FRB・BOE共に金利据え置き

FRBは金利据え置き

米連邦準備制度理事会(FRB)は28−29日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で市場の予想通り政策金利を据え置き、同時に、当面政策金利を据え置く姿勢を示しました。
声明では消費判断を「強いペースで拡大」から「緩やかなペースで拡大」に下方修正、実際、米10−12月期GDPは2%超の成長を維持したが、個人消費は予想以上に鈍化しています。

パウエルFRB議長は世界経済が安定している基盤が見られると注意深く楽観的な見方を示す一方で、新型肺炎などのリスクが存続していると慎重な姿勢を見せました。
ウィルスは深刻な問題で中国やおそらく世界の活動を抑制する可能性が強いとし、中国経済に短期的な影響がでるだろうと指摘したものの、ウィルスがどのように世界経済に影響するかを判断するのは「時期尚早」とし、「FRBは新型肺炎感染拡大の状況を注意深く監視していく」方針を示した形です。
今回の会見、市場では利上げの可能性なしの予想が強まり、ハト派的な意見との捉え方も大きく、ドルの売りに繋がりました。

BOEも金利据え置きを決定

英中銀も30日に開催した金融政策委員会で市場の予想通り政策据え置きを7対2で決定。「インフレ率は21年末まで目標下回る」としたほか成長見通しを引き下げ。カーニー総裁は1−3月期の景気回復見通しを示したもののパウエルFRB議長と同様、新型肺炎の感染拡大を監視し、「警戒態勢を維持する必要性」を強調しました。
利上げと利下げの予想がほぼ拮抗していたポンドですが、最近のイギリスの経済指標の改善が見られることと、カーニー総裁からベイリー新総裁へと変わる前に、残り少ない金融政策手段の温存へと動いたとも考えられています。
利上げ、利下げにしろ、充分な織り込みがなかったポンドなので今回の据え置きにより一気に上昇しました。

ドクターコッパーの銅下落

送電線から自動車まで幅広く使われる銅の価格は景気に先行して動くことが知られ「ドクター・コッパー(銅)」の異名を持ちます。
なかでも世界最大の銅の消費国である中国経済の先行きを占う指標として注目する関係者が多く、銅価格の大きな下落は中国の金融市場や景気の先行きの変調を示すのでは、との見方もあります。
今回の銅先物の下落は、中国で発生した新型肺炎の拡大で同国の経済活動が縮小するとの懸念が台頭した形となりました。
非鉄金属セクターでの中国のシェアの圧倒的な高さ、中国経済の成長ペースの鈍化、さらに経済活動の停滞につながる新型肺炎というイベントリスクの顕在化で、今後、銅をはじめとする工業金属価格にさらなる下押し圧力が掛かる展開もありえます。
しかし、夏頃には米国の減税も実施されるため、新型肺炎が終息すれば世界景気の回復期待で銅、原油価格は年末にかけて上昇余地を探る展開になるとも予想されます。
それでも楽観視は禁物で、問題は今回の新型肺炎がどの程度拡大する可能性があるかどうかにもよりそうです。

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