楽観的な市場

19日の為替相場は急速に強まったリスクオン地合いの行方とトランプ米大統領の中国への圧力度合いや、欧州連合(EU)財務相理事会後の参加者からの発言を注意しながらの取引となりました。

18日に報じられた新型コロナウイルスのワクチン開発進展を好感して大きく値を上げた株式市場ですが、やや期待感が先行し過ぎるような感じもします。
過去にはない速さでワクチン開発が進んでいるのは確かなものの、前のめりになる動きは警戒してしまいます。

投資家は株式や高リスク資産について弱気な見方を示していて、新型コロナウイルスの第2波のリスクが残る中で、経済回復も当初予想より遅くなると見通しです。
株式相場は3月に急落した後、封鎖措置が緩和されると経済が急回復するとの期待が高まり、値下がりの半分以上を取り戻す動きを見せています。
ただ一部の国で新規感染件数が増えており、期待が後退。この日の調査によると「第2波」が市場の最大リスクとみなされています。
そのほか、失業率の高止まりや欧州連合(EU)の分裂もリスクとして挙がりました。
ただ米国では大規模な金融緩和と財政刺激策が導入され、米国株式相場は底堅い動きとなっています。

米中対立の先行き見通せず

米中関係については溝がまた広がりそうです。
トランプ米大統領の世界保健機関(WHO)テドロス事務局長への書簡を受け、中国は「自身の無能さを転嫁しようとしている」と強く非難しました。
トランプ大統領にとっては、ワクチン開発で追い風が吹き始め、株価も上昇基調にあるなかで中国に歩み寄る必要もなく、対立激化が加速しそうな勢いです。

EUの支援金について

昨日のリスクオンを後押しした一つ、独仏による5000億ユーロのEU復興基金案は、規模が大きいうえに、EUからの補助金で返済の必要がない形をとったことで複数の国が強く反対しています。
仏財務相も年内承認は難しいとの見方を示しており、支援の遅れが懸念され、こちらも楽観視するにはまだ早い感じもします。