30日の為替市場では、第2四半期の米GDP速報値や米新規失業保険申請件数が米経済の早期回復期待を後退させる内容だったことで、ロンドン時間には売りを一服させていたドルが再び売られる展開となっています。
第2四半期の米GDP速報値
米GDPは前期比年率換算で32.9%と予想ほど悪くはなかったものの、過去最大のマイナス成長となりました。
個人消費や設備投資、住宅投資、輸出が軒並み大きく落ち込み、企業の設備投資は3四半期連続で減少。
一方、米新規失業保険申請件数は予想ほどではなかったものの、2週連続で増加しており、感染第2波が企業の採用に影響している可能性が示されました。
ドル円は105.20円近辺まで買い戻されていたが、再び104円台に下落しています。
105円を割り込むと月末絡みの実需買いやオプション絡みの買いも観測され、104.80円付近が強い下値抵抗となっていますが、その水準を再び試す動きも見られています。
そのほか、市場ではトランプ大統領がツイッターで、「安全な投票が可能になるまで大統領選挙を延期してはどうか」とツイートしていましたが、大統領選の日付変更は合衆国憲法で大統領には権限を与えられていないにもかかわらず、再三延期を求めていることに、トランプ陣営が再選に向け苦戦しているのではとの疑念にもつながっているのかもしれません。
米国で感染第2波の拡大が深刻化している中、ユーロ圏ではまだ、第2波の影響が顕著には出ていません。
復興基金の成立もあり、米国よりもユーロ圏経済のほうが早期回復を達成するのではとの期待がユーロドルを下支えしていると言われています。
しかし、一部からは、スペインやフランス、ベルギーで新規感染の増加傾向が確認されていて、まだ数は少ない状況ですが、今後、感染第2波のリスクが顕著になりだすようであれば、ユーロドルは過熱感が高まっていることもあり、急速に戻り売りに押されるリスクも指摘されています。
ポンドドルは買いが続き、1.30ドル台後半まで上げ幅を広げています。
投資家がドル安にポジションを傾けている中、これまでドル安の受け皿となっていたユーロは過熱感が高まっており、更なる上値は手掛けにくい状況もある。そのような中でポンドに見直し買いが活発に出ているのかもしれません。
しかし、市場からはポンドに対するネガティブな見方は根強く、EUとの貿易交渉のほか、英経済の先行きに対する不透明感も指摘しています。
ジョンソン政権が実施している雇用維持制度が8月から縮小になれば、失業の第2波が来るリスクも懸念され、ポンドを圧迫するリスクがあります。
その場合、ポンドドルは9月までに1.23ドルまで下落する可能性もあると市場では見られています。