噂で売って事実で買う

最近の為替市場では、時間帯によってドル買い・ドル売りの流れとなっています。
特にNY時間では、どれだけドル売りのニュースが流れても最終的にはドル買い圧力が優勢な流れとなります。
昨日もFRBが「無制限の量的緩和策を導入する」と発表されると109.83円まで下落したが、その後はNY時間での買い戻しが見られました。
本来であればドルをより積極的に売っても良いニュースにもかかわらずドルが強含むのは、それだけリパトリエーション(本国への資金還流)を含め、米国の投資家などがドルを買わなくてはならないからと思われます。
この動きが今後3月末を過ぎても続くのかは不明ではありますが、当面は米国の投資家が他国へ資金をシフトするのは難しいかもしれません。

本日も米国勢によるドル買いが継続されるかが一番の注目材料となりそうではあります。
NYでは外出制限が続いていることもあり、どの通貨も市場流動性が非常に悪いことで、些細なニュースでも大きく反応してしまうことにはしばらく警戒が必要となりそうです

各国PMI値の悪化

本日発表された3月の米購買担当者景気指数(PMI)は40.5と、過去最低水準でした。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で製造業とサービス部門がともに低迷、米経済が既に景気後退入りしているとするエコノミストの見方を後押しする内容でした。

全米の人口の半分近くを占める最低18州では先週以降、スーパーマーケットや薬局、ガソリンスタンド、病院への外出など必要な場合を除き主に自宅にとどまるよう指示が出され、非必須事業も閉鎖になっています。

新型ウイルスの感染拡大を受け、国内の多くの地域で自宅待機が要請され、サービス業の打撃となっていて、製造業も、供給網の混乱や「社会的距離戦略」が影響し、エコノミストによると米経済は3月に景気後退入りした模様です。

欧州のPMI値は過去最低に

3月のユーロ圏のサービス業のPMI速報値は28.4と2月の52.6から24.2ポイント低下し、景気判断の分かれ目である50を一気に下回りました。

リーマン・ショック後の2009年2月に記録した39.2より低くなり、データの比較が可能な1998年7月以来の最低を更新。 各国で人の移動制限や店舗閉鎖が広がるなか、観光や外食などの産業で需要が落ち込み、企業の景況感が急速に悪化しました。

製造業のPMIは44.8と2月からの低下幅は4.4ポイントにとどまっています。

製造業PMIを構成する項目のうち、サプライチェーン(供給網)の混乱により「入荷遅延」の時間が長期化しました。一般的には部品などの供給が追いつかないほどの需要の強さを示すと考えられて、遅延時間が長いのは指数全体の改善に寄与します。

しかし、中国などからの供給の遅れが製造業PMIの落ち込みを小幅にとどめている要因であれば、景気の実感と乖離(かいり)している可能性もあります。

製造業とサービス業を合わせたユーロ圏の「総合指数」は、3月は31.4と2月の51.6から20.2ポイント低下。サービス業PMIと同様に大幅な悪化となり、リーマン・ショック後の09年2月に記録した36.2を下回って過去最低を更新しました。

ユーロ圏では同日発表のドイツとフランスの3月のPMIも大きく悪化。両国ともサービス業は過去最低を更新しています。

英国の状況も厳しく、IHSマークイットと英国勅許調達供給協会(CIPS)が共同で24日に公表した3月のサービス業PMIは35.7と2月から17.5ポイント、総合PMIは37.1と15.9ポイントぞれぞれ悪化し、統計開始以来の低い水準となっています。

悪化する欧州株価、改善の兆しが見られる日経

20年に開催予定の東京オリンピックですが、1年程度延期し、遅くとも2021年夏までに開催することで合意となりました。

日経株価は、目先の売られ過ぎな反動でリバウンドに転じています。
その背景にあるのが、株式需給面からは日銀のETF買いの大幅増額、そして外部材料として東京オリンピックの開催が延期される方向が確定したことも反転の足掛かりとなったもようです。

東京五輪については、新型コロナウイルスの感染症の世界的な広がりに歯止めがかからない状況下、予定通りの開催は難しいとの認識で株式市場でも事前に織り込みが進んでいました。
しかし、東京五輪が中止されるのか延期されるのかで思惑が錯綜し、前者ならば日本経済へのマイナス影響は多大で株式市場も改めて売り直される公算が大きく、後者であればマイナス影響はある程度緩和され、株式市場にとっても一方的に売り込まれる展開にはなりにくいというコンセンサスがありました。

そうしたなか、23日に米紙USAトゥデー電子版のインタビューでIOCのディック・パウンド委員が東京五輪について「延期」が決まったとし、2021年への延期の可能性が高いと述べたことが本日の取引開始前の段階で伝わり、東京株式市場では寄り付きから大きく買いが優勢となって、空売り筋の全面的な買い戻しを誘発と、東京五輪の1年延期がほぼ決定したことも、その背景となったとみられます。

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