欧米経済の懸念

12日の外為市場では、欧州に続き全米でも新型ウイルス感染再拡大を警戒しリスク回避の動きが優勢となりました。
安全資産としての買いに加えて、インフレ率の低下で米国債相場は反発。米債利回りの低下でドル買いが一段落する動きを見せました。
また、インフレの低迷は連邦準備制度理事会(FRB)の大規模緩和を正当化。さらに、いずれ、何らかの追加金融緩和が必要となる可能性もドルの上値を抑制しそうです。

本日は、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長がECBフォーラムで講演で、「米景気回復は予想より速く力強い。ただ、向こう数カ月は厳しい時期」などと述べています。
ただ、市場の反応は鈍く動きは限定的となっています。

欧州では最近のウイルス再流行で域内最大の経済を持つドイツ、第2位のフランスを始めほとんどの諸国は30日近くの何らかのロックダウンが続いています。
せっかくリセッションから脱したものの10−12月期に再度マイナス成長入り、2番底懸念も強まりつつあります。
欧州中央銀行(ECB)は10月の定例理事会で、大規模緩和を据え置いたが見通しの悪化で、12月の追加緩和を示唆。ラガルドECB総裁は11日、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)や貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)が依然、主要手段になるとしたため追加緩和として、ECBが両措置を来年末まで延長とし、利下げではなく、PEPPの拡大、TLTROなどが用いられるとの予想に市場は自信を一段と強めるかたちとなりました。
ユーロの上値も引き続き抑制されることになりそうです。

英国7−9月期国内総生産(GDP)前期比+15.5%と4−6月期のマイナス成長からプラスに改善も最近のパンデミックの拡大で再び鈍化が懸念されています。
加えて、欧州連合(EU)との通商交渉も目標とされていた期限までの合意が困難となり、加えてEU離脱推進派内に亀裂が生じ、ジョンソン首相の上級顧問が辞任するなど、依然リスクは存続しています。