米中対立の悪化
トランプ米大統領は5月14日放送のFOXビジネスのインタビューにて、新型コロナウイルスの感染が最初に広がった中国の対応の遅れが世界へのウイルス拡散につながったと中国を批判しました。
大統領は更に「習近平国家主席とは今は話をしたくない」、「発生源が中国であることに間違いはない、大きく失望した」と述べ、感染拡大の影響で米中貿易協議の第一段階合意の実施状況についても満足できない状況とし、「報復措置として関係を完全に断ち切れば5000億ドルを節約できる」と断交の可能性にも言及しました。
米中断行ということは現実的ではありませんが、コロナショックによる大不況の直撃は政治外交的には保護主義・排外主義を助長して国内の不満を海外へ向けようとする動きにもつながるため、昨年末に段階的合意に至った米中関係が再び悪化する可能性も浮上しました。
米議会の超党派諮問機関は新型コロナウイルスの世界的流行に乗じ中国が台湾への外交・軍事圧力を強化しているとの報告書を公表し、米共和党の上院議員団は新型コロナに関する中国側の説明次第で大統領に対中制裁を科す権限を与える法案を提出。
米連邦退職貯蓄投資理事会(FRTIB)は中国企業への投資計画を無期限に延期すると発表、米政府は国家安全保障に深刻な脅威をもたらす恐れのある外国企業の通信機器の使用を禁じる大統領令の期限を1年延長すると発表してきました。
強いドル発言と長期金利と株価
トランプ米大統領は「強いドルを持つには素晴らしい時だ。私たちがドルの強さを維持したから、誰もがドルを持ちたがっている。私がドルの強さを維持した」と述べ、ドル高を支持する発言をし、ドル買いへと繋がりました。
しかし金融市場では、米国がいずれマイナス金利を導入するとの見方が根強いため、金利が底入れせず、金利面からドルはサポートされにくい流れです。
更に株式市場では、ダウの連日の値上がりで底を打ったのではないかという楽観的な空気感が漂っています。
しかしいい話ばかりを材料にしていて、株価の動きと実体経済との隔たりが大きいのではないかという指摘もあり慎重な見方も出ていて、まだまだ安心するには早いと思われています