コロナ後の懸念材料

本日の為替市場のドル円の動きは、第2次米中貿易戦争の行方と5月1日週の失業保険継続受給者数に注目する展開が予想されています。
5月1日週の失業保険継続受給者数は、2510万人と予想されており、4月25日週の2264万人からの増加が見込まれています。
現状の増加傾向が5月雇用統計の調査対象週である今週5月11-16日週まで継続した場合、4月の雇用統計から漏れたとされる800万人規模の失業者(※外出禁止で積極的に職探しをしなかった人達)を含めて、雇用統計のさらなる悪化が警戒されることになりそうです。

コロナで米中関係は更なる悪化へ

トランプ米大統領は、連邦退職基金が中国株式に投じる約45億ドルの資金引き揚げを指示し、投資先として中国株との関係を絶つ方向に動いている、と報じられており、中国外務省は法律違反だと反論し、懲罰的措置を講じる、と警告しています。
さらに、米議会では、中国が新型コロナウイルス感染拡大に至る経緯の調査に協力せず、十分に説明しない場合に、対中制裁を科す権限を大統領に付与する法案が提出されました。
同法案は、米国が実施するあらゆるコロナ関連調査に対して中国が十分な説明を提供したと60日以内に確認するよう大統領に義務付ける内容であり、中国サイドの反発が警戒されています。
また、米連邦捜査局(FBI)と国土安全保障省は声明を発表し、中国がワクチンや治療法、検査に関する情報を盗もうとしているとして医療や製薬の関係機関に警告し、不審な動きがあれば通報するよう呼び掛けたことで、関連ヘッドラインニュースには要警戒となりそうです。

ただでさえ危機にあった米中関係にとって、さらに悪化させる要因とたった今回のコロナ騒動。
特に中国当局が流行の初期段階で情報を隠蔽していたことと、中国の国土封鎖が世界のサプライチェーンを寸断したことは、中国の抑圧的な政治体制や、両国の経済的な相互依存、特に中国のサプライチェーンに対するアメリカの依存の問題を明白にしました。
コロナ禍以前なら、アメリカ人はこの点を貿易不均衡と雇用の問題とみていましたが、今は中国が医薬品原料などで世界に占めるシェアの圧倒的な高さが安全保障上の脅威と見なされています。
米中関係に潜むこの2つの「脆弱性」をアメリカ人に思い知らせ、今後の遺恨となりそうな問題へと発展しそうです。