31日の外為市場では、ドル・円は伸び悩む展開
世界保健機構(WHO)は30日に開催した緊急会合で、新型コロナウイルスの感染拡大を「非常事態」と認定しました。
ただ、国際社会への勧告のなかで国際的な貿易と渡航の制限を除外したことから、金融市場ではこの問題の世界経済への影響は想定ほど大きくないとの見方が広り、WHOの見解を受け、本日アジア市場では前日までのリスク回避的な円買いは大きく巻き戻され、主要通貨を押し上げる形となりました。
ドル・円は日経平均株価や香港ハンセン指数などアジア株の反発を手がかりに上昇基調となり、108円後半から109円台に浮上しました。
その後のニューヨーク市場では、新型肺炎の感染が世界中で拡大のペースを加速しており、中国や世界経済のリスクとなるとの脅威がくすぶりリスクオフの動きやドル売りが優勢となりました。
また、本日発表された中国や欧州の低調な指標も世界経済への懸念材料となっています。
他にも、米国債3年債と10年債利回りは再び逆イールドとなっていて、投資家が景気後退入りを警戒し始めています。
来週の主要指標
【米・1月ISM製造業景況指数】(2月3日発表予定)
2月3日発表予定の1月ISM製造業景況指数は48.4と、12月の47.2から小幅に改善が見込まれます。
ただ、好不調の節目である50を引き続き下回ると予想されており、市場予想を下回った場合、リスク選好的なドル買いは後退しそうです。
【米・1月雇用統計】(2月7日発表予定)
2月7日発表予定の1月雇用統計は、失業率3.5%(前回3.5%)、非農業部門雇用者数は前月比+15.3万人(同+14.5万人)、平均時給は前年比+3.0%(同+2.9%)と予想されます。
雇用者数は前回実績をやや上回る可能性があり、平均時給の上昇率はわずかな上昇が見込まれていて、市場予想とおおむね一致した場合、ドル売り材料にはならないとの見方が多いようです。
・予想レンジ:108円00銭−110円50銭
・2月3日−7日週に発表予定の主要経済指標の見通しについては以下の通り
○(米)1月ISM製造業景況指数 3日(月)日本時間4日午前0時発表予定
・予想は、48.4
参考となる12月実績は47.2。また、先行指標的なマークイット1月製造業PMIは51.7で12月実績の52.4を下回りました。
一部地区連銀の製造業景気指数は改善しており、1月の数字は12月実績を上回る可能性が高いとみられていますが、新規受注や生産は特に改善していないとみられており、1月も節目の50を大幅に下回る見込みです。
○(欧)ユーロ圏12月小売売上高 5日(水)午後7時発表予定
・予想は、前月比-0.5%
参考となる11月実績は前月比+1.0%。非食品の売上高が主に増加したが、自動車燃料は減少。12月については、非食品の売上増加が予想されているが、ドイツ、フランスにおける小売売上高は伸び悩むとの見方が出ており、全体的にはやや減少する可能性があります。
○(米)12月貿易収支 5日(水)午後10時30分発表予定
・予想は、-460億ドル
参考となる11月実績は-431億ドルで赤字額は2016年10月以来の低水準。消費財の輸入減少が寄与した。12月については、中国からの輸入減少が予想されているものの、輸出の伸び悩みが予想されており、貿易収支は前月比でやや悪化(貿易赤字拡大)する可能性があります。
○(米)1月雇用統計 7日(金)午後10時30分発表予定
・予想は、非農業部門雇用者数は前月比+15.3万人、失業率は3.5%
参考となる12月の非農業部門雇用者数は前月比+14.5万人にとどまりました。
ただし、労働年齢人口の伸びを維持するための必要な水準を維持しており、1月の雇用者数は12月実績をやや上回る可能性があります。失業率は横ばいの3.5%となる可能性が高いとみられます。
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