31日に行われた日銀会合で政策修正に動いてからの為替市場では、円が他主要通貨に対して下落しました。
原因となった「長期金利の変動幅は拡大するが、きわめて低い金利水準は当分維持する」との発表に対しての市場の判断はいまだについていないものの、それまで警戒感からの円買いは後退しました。
日米の景気や金融政策の方針の違いを背景に、緩やかな円安・ドル高進行が再開するとの見方が優勢になっています。
日銀が大規模緩和策の縮小に動くとの警戒感から、一時110円台半ばまで円高が進んでいましたが、噂で買って真実で売るとの言葉通りの展開になりました。
日銀は他にも「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」を決め、2019年10月に予定される消費税が経済・物価に与える不確実性を踏まえ、当分の間、きわめて低い長短期金利水準を維持するとの方針です。
海外の投資家は政策修正なら円高と見込んでいましたが、想定より、ハト派の内容で事前に積み上がっていた円買いポジション解消に伴う円売りが進んでいます。
日銀は同時に国債市場機能への配慮として、経済や物価情勢に応じた長期金利の変動幅拡大を容認するとしました。
日銀の強力な金利操作政策によって長期金利は0.1%が事実上の上限として抑え込まれてきました。これが黒田総裁が容認した0.2%程度まで上昇余地が広がるなら、日米金利差の縮小を意識した円高・ドル買いに進むかもしれません。
トランプ政権からの円安けん制リスクは後退したのか
8月9日には日米の閣僚級の貿易協議の初会合が開かれます。
市場関係者の中には、日本は金融政策で円安に誘導していることはない、とこの場で主張できるようになったとみられています。
現在のドル円相場は、利上げを進めるFRBと日本の国際収支悪化との違いから円安ドル高の方向ですが、11月に米中間選挙を通過し、米政治の不透明感が和らげばさらにもう一段階ドル高が進むと予想されています。
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