利下げか株高か

10日の為替市場では、先週末にトランプ大統領が不法移民問題について米国とメキシコが合意に達し、メキシコに対する関税発動を無期限で延期すると述べたことを背景に、両国の貿易摩擦に対する懸念が後退し、上窓が大きく開いた状態からのスタートとなりました。
目先的にリスク回避的なドル売りは縮小すると見られてはいますが、5月の米雇用統計の冴えない内容を受け、年内複数回の米利下げ観測が広がっています。
そのことからも、ドル買い円売りが大きく広がる可能性も低いと見られています。

日銀は追加緩和という手段もちらつかせる

日銀の黒田総裁は、インタビューで、必要ならさらに大規模な緩和を行うことができると述べるとともに、追加緩和に踏み切る際は副作用を減らすために最大限配慮する意向を明らかにしました。
日本経済は全体としてよくやっているとした上で、現時点では日本経済は追加的な対策が必要な状態ではないとも指摘しています。
この発言が伝わると市場では一時108.67円まで円安で反応しました。
日経平均も米国利下げへの期待やメキシコへの制裁関税の見送りと黒田総裁の追加緩和発言に反応し、2万1000円台を回復しています。

今後の見通しは日米実務者級通商協議を控え様子見

ニューヨーク市場では本日と明日、開催される日米実務者級通商協議、13日に開催される茂木経済財政相とライトハウザー米通商代表部代表との日米閣僚通商協議を控えて伸び悩む展開となりそうです。
日米実務者級通商協議では、協議事項の確認が行われると予想されています。
本格的な通商交渉は7月の参議院選挙後に先送りされており、自動車関税の判断は6ヶ月先送りされ、自動車の数量制限も要求されない見込みとなっていること、為替相殺関税や為替条項への言及もないと楽観視されています。
トランプ大統領が、習近平国家主席がG20サミットに参加しなければ中国への追加関税は直ちに発動されるだろうとの見解を示したことも相場の重しとなり、上値を抑えている要因ともなっていす。
今月はG20が開催され、そこで話し合われる貿易関係の問題について市場は注目しており、どのような流れになるかわからない状況が続いています。

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