リスクオフと好景気

昨日から本日までドル円の相場は111円を挟んだ攻防になっています。
米朝首脳会談の開催が中止になる可能性が浮上し、しばらくはドル円、クロス円とも上値が限定的になりました。
その後、韓国政府が予定通り開催との発表や、米中貿易摩擦の緩和期待、米2年債入札が好調だったことからドル買いへとつながりましたが、市場ではあまり楽観視もできなくなってきたのか、リスクオンのドル買いと、リスクオフの円買いで綱引き状態になっています。

イタリア国債が下げ止まったこともユーロの買戻しにつながり、全体的にドル売り優勢での引けとなりました。

上値を追うにも材料不足で、かといって下落するほどの材料でもないためもみ合い状態です。

ダウ平均も、日経平均もあまりパッとしない数字で終わりました。
現在は次の材料待ちです。
こういう時は特に株価や長期金利、オプションカットの数値に為替相場も反応しやすいため、株価のチェックもしておいたほうがいいかもしれません。

新興国通貨の下落が止まりません。

そして最近特に気になるのが、アルゼンチンやトルコなどの新興国の通貨の下落です。
もともと新興国の通貨は、下落を防ぐため、金利を高い水準で保っていますが、それでも下落が目立つようになってきました。
アルゼンチンは4月下旬には27.25%にあった政策金利を27日には3%利上げして30.25%に。そして5月3日にはまた3%利上げをして33.25%にしたのですが、翌日の4日には今度は6.75%も利上げをして40%にしました。
わずか8日間で12.75%も利上げをしたのは世界的に見ても異例です。
アルゼンチンはこれだけ極端な利上げをしてようやく通貨の下落を20%程度に収めることができました。利上げをしていなかったら、ペソはさらに下落していたかもしれません。

トルコリラも下落が続いています。トルコはもともと長期的に通貨の下落が続いた時期が多かった国で、最近も2014年頃からリラは緩やかながらずっと下がってきていました。2014年半ばには1米ドル=2.1リラだったレートは、現在では4リラを超えリラの価値は当時の半分以下です。最近は特に下落のスピードが速まっています。4月下旬には4.0リラ台にあったレートは、現在では4.6リラに近づき1ヶ月で10%以上下落しました
トルコの場合、エルドアン大統領が利上げに消極的な点が、リラ下落を止めることが難しい理由の1つとなっているかもしれないです。
ロシアルーブルやブラジルレアルもそれぞれ10%近い下落幅となっていて新興国通貨は現在危機的状況に置かれています。
新興国通貨には投資家のリスク選好度が如実に反映されるため、特に株式市場との関連性は深く、その動きには警戒しておいたほうがいいかもしれません。
ちなみに前回「ゴルディロックス」と言われた2004から07年は、市場全体がリスクオンのムードに包まれる中、米株高とともに新興国通貨も上昇しました。

スワップポイント目的での新興国通貨のトレードを考えている方へ、いまだに金利が高いせいか、トルコリラや南アフリカランドドルを長期で買い勧めるサイトとかありますが、いつインフレが進み、デノミネーションするかわからないため、あまり長期的に持たないようにしたほうがいいかもしれないです。

ちなみに2月時点で年間のインフレ率は6000%を超えてしまったベネズエラは6月4日にデノミネーション(通貨呼称単位の変更)を実行する予定みたいです。

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