IMFは市場の楽観視に警告

国際通貨基金(IMF)は25日、新型コロナウイルスの感染拡大が一段と広範囲に及び、ロックダウン措置が再導入されたり、通商面での緊張が再び高まったりすれば、株式などのリスク資産が新たな暴落に見舞われる可能性があると警告しました。

国際金融安定報告書の改訂版で「金融市場の楽観論と世界経済の動向との間にずれが生じている」と指摘。
このずれは「リスク資産が再び調整するリスクを高めている」とし、大半の株式市場や社債市場の価値が「過大評価されている」ようだとしました。

調整のきっかけとして、現在想定されている以上の景気後退の長期化および深刻化、新型コロナの感染第2波、封じ込め措置の再開、通商面での緊張再燃などを挙げたほか、経済格差の拡大に伴う世界的な社会不安の広がりも投資家心理を損なう可能性があると言及。
「これまでも経済的圧力が大きな弱気相場下で反騰したことはあるが、その後はよく下落していた」としています。

また対GDP比で歴史的な高水準にある企業債務や増加する家計債務に関するリスクも指摘。
「高水準の債務を抱える多くの経済圏が急激な景気減速に直面することが想定される」としました。

現時点の株式市場では、多くの市場参加者が感染が増えている州が今年春のようなに経済に大打撃となる封鎖措置を再導入することはないとみています。
それでも感染の増加は、経済活動が鈍化する脅威となり得て、春にみられた大幅な株価上昇が続く要因となったV字回復への期待も後退しました。

多くの投資家は、FRBと米政権が景気刺激策を維持するとの期待が市場の下振れリスクを抑制するとみています。
利回りが低い債券は株式の代替案として魅力的ではないのですが、それでも投資家は、既に見られた景気の低迷や、最近までの株価上昇への脅威となり得る米中貿易摩擦などの要因を見定めています。

投資家が楽観視する相場では株価への過大評価との声も聞かれており、今後の感染拡大や織り込み始めた大統領選挙の行方にも左右されそうです。