ドル円はストップを巻き込んで上昇

2日の為替市場では、特段材料は伝わってませんが、足元で頭を抑えられていた108.00円を明確にブレイクするとストップロスを断続的に誘発。
200日移動平均線108.37円など重要なレジスタンスラインを次々と上抜けて一気に上昇しています。
全米抗議デモの激化や米中対立にもかかわらず景気回復やパンデミックへの脅威が後退しつつあり、リスク選好の動きが加速しています。

米中対立からの香港ドルについて

英政府は2日、香港の統制強化に向け中国政府が制定を目指している「権威主義的な」国家安全法により、香港ドルの米ドルペッグ制が崩壊しかねず、中国の評判を損なう恐れがあると警告しています。

香港ドルが取り入れている米ドルペッグ制とは、自国・地域の通貨と米ドルの為替レートを一定割合で保つようにする制度をいいます。
これは、自国・地域の通貨レートを米ドルに連動させる仕組みであり、現在、香港ドルや中東産油国の通貨などが採用しています。
また、ペッグ制とは、固定相場制の一つで、経済基盤の弱い国や不安定な国が、自国の通貨レートを経済的に関係の深い大国の通貨レートと連動させる制度をいいます。

一般にドルペッグ制では、基軸通貨である米ドルと連動させることで、自国通貨の安定を図り、不安定な自国通貨の為替変動リスクを防ぎ(抑え)、対米貿易の採算を安定させるという効果があります。
その一方で、米国の金利政策と連動しているため、自国の通貨政策に対する裁量(金利の上げ下げなど独自の金融政策)の余地が小さく、また自国の経済実態と乖離してドル高が進行した場合、自国の通貨政策と経済運営に多大な影響を及ぼすというリスクもあります。

1983年以来、香港ドルは米ドルにペッグされてきました。
これにより、香港に拠点を構える多くの証券会社や金融機関は仕事がしやすくなっていたのですが今回、米国・香港政策法の下で香港に認められている優遇措置を、米大統領令を通じて撤回する可能性もあり、通貨にも影響を及ぼす可能性を否定できなくなってきました。