思ったより崩れないドル円

27日のNY外為市場ではリスク回避の動きが続きました。
世界ほぼ全域で新型肺炎が確認され、感染拡大が経済や企業利益に悪影響を与えると警戒されています。
米国株式相場は続落。ダウは1000ドル近く下落、重要な節目である200日移動平均水準も割り込み、コレクションテリトリー。米国債相場も続伸。
米国経済の見通し引き下げ、利下げ観測に加えて、大量の「質への逃避」としての投資資金の流入が背景となります。
米10年債利回りは1.25%まで低下し過去最低水準を記録しました。

有事のドル買い

今回の新型肺炎の発信地は日本と地理的に近い中国で、日本のリスクが大きい点で、「アジアで新型肺炎の感染者が増えるなかで、円にせよ韓国ウォンにせよ、アジア通貨をしっかり買っていくのは難しい」(国内銀)ことがあります。
つまり「逃避先通貨としての円」にそれほどマネーが還流しない構図となっています。

それだけではなく、有事の円買いが定着した背景には、膨大な貿易黒字に象徴される需給構造があります。
需給面の円高圧力が常にあり、有事の円買いが加速しやすかったが、東日本大震災以降は需給構造が均衡するようになりました。

崖っぷちの日銀金融緩和

日銀の黒田総裁は新型コロナウイルスが日本経済に及ぼす影響への対応が求められる場合に、日銀として必要な措置をとれるよう「万全を期していきたい」と述べました。
つまり必要があれば追加的な金融緩和に踏み切る姿勢を示した感じです。
このまま世界的な景気への影響が危惧され、株価が大幅に下落するなどした際には、危機的な状況と判断され、日米欧の中央銀行が協調して対策を実施する可能性は当然ありえます。

しかし、特に日銀やECBにとって実質的な追加緩和余地は限られており、仮にマイナス金利の深掘りを行って、その副作用にも目を配る政策を取ったとしても、その効果よりも副作用を市場が意識してしまう懸念があります。

このため、慎重な対応の求められる日銀にとってはなかなか動くことの出来ない状況で、市場参加者もその事は把握しており、金融政策を材料に円が売られるという状況はなかなか想像のできないところとなっています。

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