地政学的リスク後退、貿易関税問題の懸念

先週の週末に発表された米雇用統計では、予想を上回る結果となりました。
賃金は伸び悩みましたが、同時にそれはインフレの鈍化を示しており、株式市場にとっては良い結果となりダウ平均株価は大幅高、ナスダックは6日続伸で過去最高高値を更新しました。VIX値も13ポイント台まで下落しリスク選考の動きを示しました。
株は上がりやすいのですが為替のほうはインフレ鈍化が上値を抑えて小動きとなり、米朝会談の開催で楽観的ムードも重なり、ドル円は一時117円台を回復する動きを見せました。

ドル円の今後の動きの懸念材料は、関税に関する問題で貿易戦争への警戒からのFOMCでの追加利上げの見送りがあるのではないか、財政赤字、貿易赤字の増大での米国債売却の加速がドル安になるのではないか。逆にポジティブ材料としては、好調な米国経済、FOMCでの利上げ3~4回の見込み、長期国債の上昇、堅調な日米株式市場など、市場ではどちらに転ぶのか様子をうかがっている状況です

今月は企業の期末決算があり、日銀の想定為替レート110.18を下回っているため悪影響があるのではないかと警戒もされています。

関税問題に関してはムニューシン長官が「輸入制限発動について、より多くの国が適用を猶予される可能性がある」との見方を示していますが、市場では猶予は短期間に留まるのではないかという事で警戒感は低下せずまだ要注意事項になっています。
また、ムニューシン長官は中国を意識した発言を続けており、中国やEUは報復関税を課すことを検討、トランプ大統領は再報復として自動車にも関税をかけることを表明、もはや泥沼の報復合戦に突入しそうです。。
ただこの関税問題、適用除外国も多く、個別の国々も修正検討とのことで市場は思ったよりネガティブな反応は現在のところ示していない模様です。

ヨーロッパも安定せず。。

イギリスでは一部の報道で英当局者の話で、年内のEU離脱交渉の合意が難しくなり、来年1月が現実的になったとの話が伝わりポンドは売りに転じました
どちらにしろイギリスは来年3月には合意の有無にかかわらず離脱するためポンドにとってのネガティブ材料になっています。

先週のECB総裁の定例記者会見では量的緩和の延長はあっても拡大はないとの発表、緩和は続けるけどこの調子で緩やかな回復を目指しているって内容で、ユーロにとっては若干の買い材料となりましたが、イタリアではEUを快く思っていない「五つ星運動」が第一党に躍進し、ユーロの上値を抑えています。

オーストラリアドルは特に変化なし

RBAは6日に政策金利の発表を行い、1.50に据え置きを決定しました。据え置きは17回連続です。
声明文の内容も前回の会合とほぼ同じで、当面の据え置きから方針変更は見込まれず、先週発表されたGDPや小売売上高、貿易収支など、関心も限定的でした。
現在の世界の為替相場の関心は米国の輸入関税問題に向けられており、豪ドルは米ドルなどの他通貨の動向に影響を受けやすい地合いが続きそうです

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